青青日記

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サウルの息子
新宿シネマカリテ

2015年ハンガリー
ネメシュ・ラースロー監督/脚本
ルーリグ・ゲーザ/モルナール・レべンテ/ユルス・レチン/トッド・シャルモン/ジョーテール・シャーンドル

 町山智浩さんがラジオで激賞してて、見ようと決めた。
 昼から満席だった。

 すげえ…
 言葉もない、て感じ。
 まわりでずっと話し声や物音がしてるんだけど、メインのセリフしか字幕がないんで何を言ってるのか分からず、あー、ドイツ語やハンガリー語ができたらなー、とも思ったし、その雑音感がリアルだな、とも。雑踏の中、いろんな人声が聞こえてるけどそこに関心がない、自分が心を閉ざしてる感じ。私は仕事をする機械、ていう無感動な感じ。
 いろんな言語が飛び交ってて、ああ、アウシュビッツにはヨーロッパ各地からユダヤ人が運ばれてきたんだ…と分かった。

 うん。
 テーマていうより、この表現方法にやられた。
 すげーよ監督!!やられたー!!!
 て感じ。
 こういうの、私もやりたかった!ていう。
 …まあ、映画監督じゃないから、自分がやる、てもの変だけども。
 こうの史代さんの「夕凪の街」を思い出した。あれも、原爆てモチーフを、完全な個人主観で描いたとこが新しかった。
 原爆とか戦争を、総論というか概論というか、そういうんでは伝わらなくて届かない部分を、個人の視点のみで描く。
 それがむしろ、感情的に分かるというか、戦争の非人間性がひしひしと伝わるというか。
 個人主観なせいで、全体が描かれないから、かえって想像されてすごいんだよな。

 この映画も、サウルの背景に映るピンボケの肌色…大量の遺体とか血とかが、うおお…てなる。

 ゾンダーコマンドていう人たちの存在も知らなかったし、収容所で反乱やレジスタンスがあったことも知らなかった。勉強したいな。

 監督がインタビューで、今までのホロコーストを描いた映画などに不満だった、それはヒーローや悪役や気の毒なユダヤ人が出てきて、作られた物語だと感じた、と言ってた。(てきとう。インタビューでの言葉は、もっとシンプルで分かりやすかった。)まさに!て思った。
 そうなんだよ!
 誰かの物語じゃなく、私たち自身と等身大に感じるものを描きたいんだ。

―――以下ネタバレあり―――
ラストの金髪の少年は、サウルの夢やろか。
映画の救いとして配置されてるのは分かる。サウルの笑顔が、すごい嬉しいもん。
サウルの肉体は死んだけど、心は自由になって森を駈け去った…ていうことやろか。

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感想 |2016.02.01 Monday 23:58 | comments(0) | - |









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