青青日記

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曹操が詩を詠むのは敗戦フラグとか言うなってば「三国志ジョーカー」
 6日発売「ミステリーボニータ」4月号掲載。

 魏が呉と組んで蜀を追いつめたり、呉と蜀が組んで魏と戦ったり、ぐっと三国志らしくなってきました。



 ・・・うそです。
 すみません。
 前半はまったく三国志っぽくありません。(読者様が「三国志〜」というタイトルを二度見するレベル。)

 曹操の詩は「対酒」。
 赤壁の前っていうと「短歌行」が出てくるわけですが、前々から、開戦って状況と詩の内容(求む!有能な人材)が合ってないだろーとツッコミたかったので、詩をさしかえて自分的にはスッキリしました。

 以下、雑談。テヘ
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 この「対酒」という楽府は、曹操の政治の理想をうたったもので、まあプロパガンダ詩といえばそうなんですが、初めて読んだときにちょっと泣きました。
 ずいぶん昔に、ソ連の映画監督エイゼンシュテインの「全線」(1929年)っていう映画をみたことがあり、(え?何の話?って皆さん思ったでしょう。まあ、ちょっくら聞いててくんな) ソビエト革命の当時、人々が夢見たソビエトってのはこういう感じだったんだなぁと胸をつかれました。貧しい農村が、革命の平等主義とトラクターによって豊かになる・・・的な。また映像が良いんだこれが。

 自分は歴史をやってて、過去の人々の考えや行動を今のモノサシで測るのは間違いということを日々痛感します。そのなかで、「わけわからん汗」と思っていた昔の人の感覚が、「こういうことか!」とピンとくる瞬間がまれにあり、たまらない快感なわけです。(もちろん、ピンときたってのも自分の勝手な思い込みですが。)
 エイゼンシュテイン「全線」はそういうコペルニクス的転回(ちょっと大げさ)を私にもたらし、同時に、映画に描かれた人々の夢が無残に裏切られた歴史に、痛切な胸の痛みをおぼえました。(エイゼンシュテイン自身もスターリンの弾圧にあって、不遇な晩年を送ります。)

 で。
 曹操の「対酒」を読んだとき、自分は「全線」を思い出しました。
 曹操と彼の仲間は、こういう夢をみてたんだな、と。
 その夢は叶わなかったけれど。

曹操「対酒」

対酒歌 太平時 酒にむかいて歌わん 太平の時
吏不呼門  とりたての吏(つかさ)来たらず
王者賢且明 王たる者は賢く明らか
宰相股肱皆忠良 宰相・補佐はみな忠良
咸礼讓  礼をわきまえ譲りあり
民無所争訟 民には争いごとのなく
三年耕   三年耕せば
有九年儲  九年のたくわえあり
倉穀満盈  かては倉に満ちて
斑白不負載 白髪の人 重荷を背負わず
雨沢如此  めぐみの雨のかく降れば
百穀用成  よろずの穀は田に実る
却走馬以糞其土田 いくさ馬は田に肥やしやる
爵公侯伯子男 領主らは
咸愛其民  おのおの民をいつくしみ
以黜陟幽明 悪しきはしりぞけ良きは上せ
子養有若父与兄 わが子を養う親のごとし
犯礼法   おきてを犯すものあらば
軽重隨其刑 軽重 刑にしたがわせ
路無拾遺之私 路におちたる物を私する者なく
囹圄空虚  牢屋はからっぽ
冬節不断人 処刑される人もなく
耄耋皆得以寿終 老いし者は天寿を終えて
恩徳広及草木昆虫 恵みは草木昆虫に及ぶ

竹田晃『曹操―三国志の奸雄』講談社学術文庫より
三国志ジョーカー |2012.03.06 Tuesday 23:59 | comments(0) | - |









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